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最高裁判所第三小法廷 昭和27年(マ)31号 決定

主文

本件申立を却下する。

理由

申立人は旭川地方裁判所昭和二六年(行)第二号基本選挙人名簿削除決定取消請求事件について同裁判所が昭和二七年四月二日言渡した判決に対し当裁判所に上告申立をし、右上告事件の判決確定に至るまで右選挙人名簿修正処分の効力を停止する旨の裁判を求めるのである。

しかしながら、右上告事件が公職選挙法二四条二項によるものであることは明白であり、同条三項の準用する同法二一四条は訴訟の提起があつても処分の執行を停止しない旨を規定し、右二四条三項の準用する同法二一九条は特に行政事件訴訟特例法中公職選挙法による訴訟に適用すべき条項を列記しており、右列記中に右特例法一〇条二項を記載していない以上前記上告事件の提起があつても裁判所は右条項による執行停止を命ずることはできないものと解するを相当とする。申立人は右公職選挙法二一九条の列記を例示的のものであると主張するけれども採用することはできない。

以上説明のとおりであるから本件申立は不適法であつて、これを却下すべきものとし裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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